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アイヌ民族文化への理解と自然林の再生を目指す「イオルの森」プロジェクト

2023.04.17

「イオルの森シンボルガーデン」記念植樹とシンポジュウムへのお誘いです。
北海道と呼ばれる前は原生林に囲まれながら、アイヌ民族は何百年もの間その恵みを得ながら暮らしてきました。しかしこの150年、開拓や林業のため原生林はその多くが伐採され、カラマツなどの商業林、さらにニセアカシヤや輸入牧草などからとんだ外来種でいっぱいとなってしまいました。今世界は先住民族の人権や文化を尊重し、回復に向かおうとしています。国連「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に賛同した日本政府そして札幌市の取り組みは決して前向きではありません。そこで私たち市民の草の根活動がアイヌ協会と協力しあい「札幌アイヌ文化交流センター」通称「札幌ピリカコタン」の前庭にアイヌ民族の人たちの里山である「イオルの森」シンボルガーデンつくりを企画し財団法人都市緑化機構及び第一生命財団が主催する第29回緑の環境プラン大賞シンボル・ガーデン部門に応募して緑化大賞に選ばれた受賞金で実施しています。
そこで5月20日現地で記念植樹と記念講演、シンポジュウムを行います。これまでの植樹とは全く違い、札幌市内を中心とした自然林から私たちが多種の種子を集め、厳しい自然環境で育てた苗木を多種類無作為に混ぜ、現地に戻します。その後毎年木の成長を観察します。
この機会にぜひ多くの方に経験していただければと願います。
またどうして自然の森の再生が必要なのか、一緒に考えていければと思います。
申し込みアドレスは宮島宛、岡村俊邦さん宛て どちらでも構いません。
miyajima@humu.jp 宮島宛

okamura.toshikuni@gmail.com 岡村俊邦さん宛て
この計画を進めた岡村俊邦さんは「生態的混播混植法」という自然林再生法を発明した科学者です。植樹に初めに短い時間ではありますが説明していただきます。
簡単に今回の森つくりの流れをイラストにしました。今回皆さんにご協力お願いするのは真ん中のイラストの部分です。

左)植えられたカラマツが放置され密植した状況。単一針葉樹の森は天然更新がおきにくく、多様性がなく、病害虫や台風などの影響も受けやすい。まずはこの森のカラマツを伐採し、鹿よけの柵を作ります。
中央)カラマツを伐採し日当たりのよくなったところに、多種類の自然林の小さな苗木を植えます。過去の活動で、森に入り込んだ多くの外来種の草本の種は日が当たることにより、すごい勢いで苗木を覆ってしまい、苗が育つことができませんでした。そこで苗木がこれらの草の陰にならないくらい成長するまで防草シートのお世話になります。(本当は敷きたくないのですが、そもそもの環境が自然ではないので)
右)植樹して8年程度をイメージしたスケッチ。苗から地植えされた苗木は3年目くらい生き生きと成長します。
そして8年くらい経つと、若い森が出来上がります。こうなるとあとは鹿の被害さえなければどんどん自然林として成長し、落ち葉が腐葉土となり森がさらに豊かになっていきます。

この計画は「近自然森つくり協会」岡村俊邦さんが中心となって、札幌アイヌ協会と協力しあいやっと実現に向け進むことができました。

「子供と作ろう種から育てる未来の森」(事務局 ㈱フーム空間計画工房)について
自然再生に強い興味を持っていたフーム空間計画工房の宮島が自然林再生の研究者で当時北海道科学大学環境デザイン学科教授の岡村俊邦さんと出会い、その指導を受け立ち上げた活動団体です。
 14年ほど前から自然林の再生方法の追求、市民参加の森つくり実践活動を続けてきました。砕石所跡地という厳しい五天山公園で13年間試行錯誤続けやっと森の成長を確認することができるようなところまできました。
これまで「北海道新聞エコ大賞」「花王・みんなの森つくり活動助成」対象・「コープ未来の森つくり・高額助成団体」などを過去に受賞しています。
私たちも「イオルの森つくり」プロジェクトに初期段階から参加し、お手伝いさせていただいております。