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張碓あばらや再生(一期工事かな?)

2022.12.31
2020年初冬 山奥の小屋で木こりさんたちと酒飲んでいたら怪しい男二人が訪ねてきた。
一人はニューヨークから帰ってきたジャズピアニスト。実はその御高名は以前からジャズ好きの友人から聞いていたので驚いた。コロナでライブ活動が自由にできない今、古民家を購入して、そこに1900年代ニューヨークスタンウエイのピアノを置いて演奏するのだと。早速見に行ったら失礼ながらいつ崩壊しても不思議でない廃屋だった。まず自然樹を加工していた男が彼に床板材を売った因果で、ボランティアで床板を張る羽目になったが、参加者皆楽しそうに作業していた。
 建物の改修の話があったのだが大体芸術家というものやたら要求が多い、面倒なのに金払いが悪い、クライアントとしては最低というのが定番。しかしいつものごとく逃げ遅れた。まずはテントレベルに断熱がなく、かついつ崩壊してもおかしくない脆弱な構造を何とかしなくてはならない。そこで建物を丸ごと外から構造を固め厚い断熱ジャケットを着せてしまう外断熱を決行することになった。

改修前南東外観
もともと築年数が不明で少なくとも50年は経っている素人が廃材を集めて作ったようなあばら家で屋根は雨漏りのせいか、もとの屋根の上に板金屋根が乗っている。「いつ崩壊しても不思議ではない」といったものの60年くらいの年月を耐えたのだ。このような民家は実は今でも多くはないが存在し不思議に崩れた話は少ない。かって古民家鑑定士を名乗る怪しい女性が仕口(木材のジョイント)がゆるゆるなので免振構造になって崩れないのだと言っていたが全く根拠はない。

屋根裏の状況
既存の屋根の上から気密シートを全面張り、その上から断熱下地を作る。写真は一層目の下地でこの隙間に105mmの高性能グラスウールが充填される。さらにその上にもう一層下地を組み105mmの断熱材敷きこむ。併せて210mm断熱となる。

外壁は防湿シートをかぶせた上から構造用のOSBを全面張り、その上から断熱下地を施工しているところ。
こちらも高性能グラスウール105mmをダブルで充填する。
屋根から外壁にかけて断熱材105mm+105mmを充填したのち透湿防水シートを張ったところ。外壁下地を兼ねる通気層も施工されている。

屋根裏は構造用合板をダブルで張りその上に北海道産カラマツの床板を張ったところ。
窓周りの収まり
もとの壁の位置は窓の外側、その外側に断熱材210mmに通気層と杉板を張って合計280mmくらい外側に太った。
南西側完成外観
建物の外皮熱還流率Ua値は0.28W/m.K。現在の北海道の省エネルギー住宅の基準0.4であるから今日としても改修としてはなかなかなもの。クライアントの彼は素晴らしピアニストでアーティストであるが同時に、芸術家と自覚する人の多くに見られる人柄と全く違ってなかよくなれ、ホットしている。

一番小さなFFストーブを買ってもらい脱衣室の脇に置いてもらった。42坪の空間をこれ一台でしのぐ。

動画ご希望のかたは9分後からご覧ください。

ということで何とか無事に年内の工事が終了しました。