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Air Doの機内誌Raporaの特集 「北海道で暮らす」で赤井川のお宅が紹介されました。以下の文章は取材文そのものです。

2021.03.06
Rapora 北海道に移住しませんか特集です。

断熱をはじめとする機能に優れ、先進的だといわれる北海道の家には、設計者や職人たちの工夫が詰まっている。新たな時代の家づくりとは? 人気の建築家に教わった。

 味わいのある木の外壁。家の中も、壁、床、天井まで自然素材を使い、省エネの観点からも定評がある、〈フム空間計画工房〉宮島豊さんの設計した赤井川村に完成したばかりの家に伺った。
 取材日は、気温マイナス15度。換気も考えた空気の流れをつくり、
1階の隅に置いた灯油ストーブをエコモードで稼働させるだけで、44坪のお宅の隅まで20度近い室温が保たれている。「暖房って暖めると思っているけど、そうではなくて、冷やさない。建物から熱を逃さないことが大事です」と宮島さん。

断熱の厚みが強調される窓周り。壁の中に105㎜さらにその外側に210㎜高性能グラスウールを入れている。

 たとえば壁の断熱材。25年前は105ミリだったが、最近は315ミリに。屋根は400ミリくらい入るそう。「建物
の性能を上げて、暖房器具はシンプルに。そして、極力エネルギーに依存しないようにと考えています」
 またトドマツの床材を例にして、「実は、木材もコンクリートも表面の温度は同じ。だけど体温を奪う速度が、材料によって異なる。体感温度を下げない材料を、体に触れるところに使うといいんです」。
 意識するのは、快適な環境をキープすること。そのための素材として木の役割は大きいが、宮島さんがこだわる理由はほかにもある。たとえば、郵便ポストの取っ手をどうしようと考えたとき、現場で作るには木しかない。逆に言うと木があれば、ちょっとした知識と腕があったら、どうとでも作れるじゃないですか」。大切にしたいのは、小さな規模であること。使う木も、作る職人も、できるだけ地域で完結すれば、省エネになるし、ルーツがわかる安心できる家にもつながる。

木製のキッチンと野幌産のレンガ壁


 だから宮島さんは、木の可能性を考える。家の中を見渡すと、キッチンの天板も、バスルームの浴槽も、木「水回りに木は敬遠されるけど、濡れても乾けばいいんです。だけどコーティングしていると、染み込んだ水抜けなくて傷んでしまう。だから素地のままか、オイルを塗るだけにしています」。結果、かえって手入れが楽になることも。地元の木で、自分たちの力で、その先にエネルギーの自給自足も目標に掲げて。

カラマツの耳付き板を木酢で染めた外壁


 宮島さんの〝考える〞家づくりには、これからの暮らし方のヒントも詰まっているようだ。